【2025年版】住み替え時に売却と購入の流れはどうする?基本や選択肢をわかりやすく紹介

不動産売買

田中 洋平

筆者 田中 洋平

不動産キャリア25年

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住み替えを考え始めたとき、「自宅を売却してから新しい住まいを購入するには、どんな流れで進めるのがよいのだろう?」と悩まれる方は多いものです。今の住まいを手放してから新しい住まいを見つけるのか、それとも購入を先に進めるべきか――大切な家のことだからこそ、正しい順序や必要な手続きを知っておきたいものです。本記事では、住み替えの流れや選択肢、必要な費用や注意点まで、誰でも分かりやすく整理してご案内いたします。

住み替えにおける基本的な流れと選択肢

住み替えに際しては、「売り先行」「買い先行」「同時進行」の三つの進め方があります。それぞれの特徴を理解して、自分に合った方法を選ぶことが大切です。

進め方メリットデメリット
売り先行売却益を資金にでき、資金計画が立てやすい仮住まいが必要なことがあり、購入タイミングが限られる
買い先行新居探しに時間がかけられ、仮住まい不要一時的な二重ローンや資金計画の不確定さがある
同時進行引越しが一度で済み、仮住まいやローン負担を抑えられるタイミング調整が困難で、計画が失敗するリスクも高い

「売り先行」は、現在の物件を売却して得た資金を元に新居購入の資金計画を安心して立てられる方法です。特に資金面や住宅ローンの返済とのバランスを重視する方に向いています。一方で、売却後に新居がすぐに見つからなければ仮住まいが必要で、その費用や引越しの手間が発生する点に注意が必要です(例:賃貸への短期間引越しや敷金・礼金など)です。

「買い先行」は、物件をじっくり探したい方に適しています。仮住まいの手間がなく、自宅を空き家状態にして売却できる点もメリットですが、一時的に住宅ローンが二重になる可能性があり、売却価格が不確定なまま購入するリスクがあります。

「同時進行」は、売却と購入を同時期に進め、引越しの負担や費用を最小限に抑えたい方に理想的な方法です。ただし、売却者・購入者双方のタイミングが合わないとスケジュールが崩れるリスクも大きいため、計画性と柔軟性が求められます。

住み替えの進め方を時期ごとに整理(スケジュール感)

住み替えを検討する際は、まず「いつまでに住み替えたいか」「何を重視するか」といったゴールを明確にすることが重要です。ゴールから逆算して進めていくことで、査定依頼やローン審査などの工程も計画的に進めやすくなります。たとえば、「半年後に住み替えたい」と考えていても、広告掲載や交渉、引き渡しを考えると、実質的には3か月程度しか準備期間がないこともあるため、時期に余裕を持ったスケジュール設定が求められます。これは、売却を急ぎすぎて理想の購入物件を見逃すリスクを避ける上でも大切です。

具体的には、
①6〜12か月前: 住み替えの目的を整理し、住み替え先の条件をリストアップ。住宅ローン残債や資金計画もこの段階で確認します。
②5〜10か月前: 売却を先行するか、購入を先行するかを判断します。「売り先行」は資金計画が立てやすい一方、仮住まい費用が必要になる可能性があります。「買い先行」は仮住まいを避けられますが、ダブルローンのリスクや売却時期の不確実さが伴います。

以下の表は、住み替えのスケジュールを時期ごとに整理したものです。目安としてご参考になさってください。

時期主な内容留意点
6~12か月前 住み替え目的と条件整理、住宅ローン残債や資金計画の確認 早めの計画で安心感を得られます
5~10か月前 「売り先行」「買い先行」どちらにするか判断 それぞれのメリット・デメリットを理解することが重要です
3~5か月前 査定依頼・売却活動や購入物件の検討、ローン仮審査など 重なる工程には十分な余裕を持たせましょう

このように時期に応じて段階的に進めることで、慌ただしくなることを避けつつ、売却・購入の双方で後悔のない選択をしやすくなります。資金計画やスケジュールを含めた全体像を、不動産の専門家と一緒に確認しながら進めると安心です。

費用や税金を把握して資金計画を立てる

住み替えに伴う資金計画を立てる際には、売却時と購入時に発生する諸費用や税金に加え、それぞれ利用できる税制上の特例を正しく理解することが重要です。ここでは主な費用項目と税制度、さらにその活用のポイントをわかりやすく整理いたします。

タイミング 主な費用・税金 活用できる主な特例・控除
売却時 ・仲介手数料(売却価格の約3%)
・印紙税、抵当権抹消手数料、引越し費用など
・3,000万円特別控除
・軽減税率の特例
・買い替え特例
※併用できない制度あり
購入時 ・登記費用、収入印紙代、火災保険料、銀行手数料
・固定資産税の清算金、管理費・修繕積立金の清算金など(諸費用は価格の6~12%)
・住宅ローン控除(所得税・住民税の控除)
・不動産取得税軽減措置(建物・土地の軽減あり)

売却時には、譲渡所得にかかる税金を減らすために「3,000万円特別控除」や「軽減税率の特例」、「買い替え特例」があります。「3,000万円特別控除」は居住用財産を売却した際、譲渡所得から最大3,000万円を控除でき、所有期間など要件にかかわらず利用可能です。加えて、所有期間が10年以上の場合は軽減税率(6,000万円以下なら14.21%)が適用され、税負担を大きく軽減できます。ただし、これらと住宅ローン控除は併用できないことがあり、注意が必要です。

購入時には、登記費用・収入印紙代・火災保険料・銀行手数料・清算金など、多岐に渡る諸費用がかかります。その費用は物件価格の6〜12%程度が一般的な目安です。これに加え、住宅ローンを利用する場合、「住宅ローン控除」(年末ローン残高の約0.7%を10〜13年にわたり所得税から控除)や、不動産取得税の軽減措置が受けられる可能性があります。

資金計画を立てる際は、制度ごとの併用可否や利用条件をしっかり確認し、ご自身の売却益やローン残高と照らし合わせて最適な選択をすることが肝心です。確定申告や年末調整での手続きも漏れのないように注意しましょう。

スムーズな住み替えのために注意したいポイント

住み替えをスムーズに進めるためには、資金計画やスケジュール管理、住宅ローンの仕組みなど、細かな配慮が欠かせません。以下のようなポイントに十分注意しながら進めていくことをおすすめします。

まず、仮住まいを避けたい場合や二重ローン(ダブルローン)のリスクを軽減したい場合は、「同時進行」で売却と購入を行う方法が有効です。売却代金で旧住宅ローンの返済を済ませ、新居の購入に繋げることで、仮住まいも二重ローンも避けられます。ただし、複数の関係者とのスケジュール調整が必要であるため、タイミング調整が難しい点には注意が必要です。 

次に、あえて「売り先行」または「買い先行」の方法を選ぶ場合、それぞれに異なる注意点があります。売り先行では資金を確保しやすくなる一方、仮住まいが必要になる可能性があり、手間や費用が増えるおそれがあります。買い先行では理想の新居を選びやすい反面、旧住宅のローンを残したまま新たにローンを組むことで二重ローンの負担が重くなりがちです。 

表に、各方式のメリット・デメリットをまとめました:

方式 主なメリット 主な注意点
同時進行 仮住まい不要、二重ローン回避 スケジュール調整が難しい
売り先行 資金計画が立てやすい 仮住まいや引越し2回の可能性
買い先行 じっくり物件選びができる 二重ローンのリスクあり

また、「住み替えローン」を活用することで、旧住宅のローン残債と新居購入の資金を一度に借り入れ、二重ローンを一本化できるケースもあります。ただし、金利が高めで審査が厳しく、両方の決済日を合わせる必要があるため、金融機関や不動産会社と綿密な調整が必要です。 

最後に、どの方式を選ぶにしても大切なのは「ゴール(目標)」を明確にし、そこから逆算して行動することです。引渡し日や資金手当ての時期などを定めて、余裕を持った計画を立てることで、予期せぬトラブルや費用の発生を避け、安心して住み替えを進めることができます。

まとめ

住み替えに伴う売却と購入の流れは、「売り先行」「買い先行」「同時進行」といった方法があり、それぞれに特徴と進め方があります。最初に住み替えの目的や条件を明確にし、時期を考えながら計画的に進めることが大切です。また、売却や購入時の費用や税金、資金計画も事前に把握しておくことで、余裕を持った対応が可能となります。仮住まいの有無やスケジュール上の注意点も確認しながら、理想の住み替えを実現しましょう。本記事を通じ、住み替えの具体的な流れを理解し、安心して新生活への一歩を踏み出してください。

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