【2026】古い擁壁がある家は売却に注意が必要!リスクや流れを家主向けに解説

不動産売却

田中 洋平

筆者 田中 洋平

不動産キャリア25年

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古い擁壁がある家をご所有の方は、「このまま売却できるのだろうか」「思ったよりも安くしか売れないのでは」と心配されることが多いものです。実際、擁壁が古い場合、さまざまなリスクや注意点が存在し、慎重な対応が必要となります。本記事では、古い擁壁がある家ならではの売却時のリスク、事前に行うべき調査や資料の整備、売却方法の選択肢、そして成功のための具体的ステップまで、分かりやすく解説いたします。今の不安を整理し、納得して家を売却するためのヒントを得てください。

古い擁壁がある家を売却する前に知っておくべきリスクと現状把握

古い擁壁(ようへき)がある住宅では、まず安全性に関するリスクに留意する必要があります。ひび割れや傾き、内部鉄筋の腐食などにより、地震や豪雨で擁壁が崩壊する危険性があるためです。特に排水孔(ウィープホール)が詰まっていると、背後に水圧がたまり不安定になることもあります。目視で見えない内部損傷も多いため、専門家による確認が重要です。

さらに法令上の問題として、古い擁壁は「宅地造成等規制法」や建築基準法の基準に適合していない場合があります。特に高さが2メートルを超える擁壁には確認申請が必要ですが、これが不備だと再建築の際に是正が求められたり、住宅ローンの融資がなかなか通らなかったりすることがあります。

このようなリスクがあると、金融機関がローンを慎重に扱い、買い手が見つかりにくくなります。実際、古い擁壁のある土地では、安全性や補修の不透明さから、売却価格が相場より20〜30パーセント程度下がるケースもあると報告されています。

以下の表は、売却前に把握しておくべき主要なリスクとその影響です。

リスクの種類 具体的な内容 影響
構造的リスク ひび割れ、傾き、排水孔の不備など 崩落の恐れ、安全性への不安
法令・手続きリスク 確認済証の欠如や既存不適格 再建築制限、融資不可の可能性
金融・価格リスク 補修費用の見通せなさ、融資が通らない 売却価格の大幅低下、購入希望者減少

このように、古い擁壁がある住宅を売却する際には、安全性、法令遵守、融資への影響といった観点から「現状把握とリスク認識」が欠かせません。そしてその上で、専門家による正確な調査や資料整備が、売却の成功に向けた第一歩となります。

売却前に行うべき調査と資料の整備

古い擁壁がある家を売却する際には、売主様ご自身が安全性や法的要件に関する信頼ある情報を整えておくことが重要です。まず「専門家による擁壁の点検」として、建築士や擁壁に詳しい土木分野の専門家による健全度の判定や補修の必要性の診断を依頼しましょう。たとえば、国土交通省のマニュアルに基づいた健全度判定を行い、補修や再構築の方針や工法・費用の概略を把握することが可能です。

次に「自治体での資料取得」ですが、擁壁の設置時に建築確認済書や完了検査済証、構造計算書があるなら、それらは市区町村の建築担当部署で取得できる可能性があります。こうした書類が存在すれば、再建築の可否や法令遵守の履歴を示せる重要な資料となります。

さらに「現況を買主に示すための資料作成」も欠かせません。擁壁や建物の劣化状況(ひび割れ、膨らみ、傾き、水のしみ出しなど)を写真で記録し、専門家による診断報告書とともに提示できれば、買主様の安心を得やすくなります。こうした客観的資料は、売却後のトラブル回避にも繋がります。

調査・資料の種別目的準備の内容
専門家による擁壁点検安全性・補修の必要性を把握健全度判定、補修方針、費用概算
自治体での資料取得法的な根拠・再建築可否の確認建築確認済証、検査済証、構造計算書の入手
現況資料の作成買主への情報提供・信頼性確保現況写真、診断報告書の提示

これらの調査と資料を事前に整えておくことは、売主様が自身の不動産の状況を正確に把握し、買主様に安心いただける売却につながります。

売却方法の選択肢とそれぞれのメリット

古い擁壁がある家の売却方法には、大きく三つの選択肢があります。それぞれの特徴とメリットを整理してお伝えいたします。

方法特徴メリット
現状のまま仲介販売擁壁・建物をそのままの状態で一般の方に売却解体や補修の費用を避けられる。土地や建物の合計で価値を見て検討する買主に対応できる場合がある(例:リフォーム前提の購入者)
擁壁補修プラン付き販売擁壁の状態を専門家が診断し、具体的な補修見積もりやリフォームプランを添えて販売購入後の安全性を具体的に示すことで、買主の安心感を高め、売却につながりやすくなる
買取専門業者への売却不動産会社が買主となり、現状のままで直接売却売却が迅速に進み、引き渡し後の責任が軽減。処分や補修の手間も不要

以下に、それぞれの方法の背景や詳細についてご説明いたします。

現状のまま仲介販売
擁壁を補修せずに、そのままの状態で仲介により売却する方法です。この場合、解体や補修にかかる高額な費用を避けられる点が大きなメリットです。建物を建て替えたい買主やリフォームして住まいにしたい方などには、現状のままでも十分訴求できます。ただし、擁壁の安全性や修理の必要性が価格交渉の要因になり得るため、買主によっては価格調整が求められる場合もございます。

擁壁補修プラン付き販売
一級建築士や造成業者による擁壁の調査と、補修の見積もりを含む販売方法です。このような具体的な情報提示があると、買主に対して安心感を与えやすくなり、売却成立につながることがあります。実際に、調査とプラン提示を行った結果、購入希望者から即決による成約に至った事例もございます。

買取専門業者への売却
不動産会社が買主となり、現状のまま買い取ってもらう方法です。この方法では、仲介に比べて手続きが速やかで、売却後の責任を軽減できる点は大きな強みです。また、解体や補修の手間を省くことで、精神的・費用的な負担を軽減できます。ただし、仲介に比べて売却価格が一般に安くなる傾向がある点にはご注意が必要です。

売却を成功させるための実践的ステップ

古い擁壁のある住まいを安心して売るには、以下の三つのステップを意識することが重要です。

ステップポイント
価格設定補修・解体費用を見積もり根拠に、相場とのバランスをとった設定を行います(例:全面補強なら延長10mで100~200万円、解体なら延長10m・高さ2mで150~200万円程度)
情報開示と交渉準備擁壁の安全性や法令適合(確認済証の有無など)、劣化状況(ひび割れ・排水穴)の説明、インスペクションや専門家の診断・見積もり資料を提示し、買主の安心につなげます。
売却タイミングとスピード補修を後回しにすると劣化が進み費用が増す可能性があるため、早めに対策を行い、迅速に売却活動を開始するのが望ましいです。

まず、売却価格の設定にあたっては、適切な修繕費用を踏まえることが信頼性につながります。例えば、擁壁の全面補強で延長10mあたり100~200万円、解体だと延長10m・高さ2mで150~200万円ほどかかる目安があります。これを踏まえ、現実的かつ納得感のある価格にすることが売れやすさにつながります(部分補修や補助金活用にも配慮が必要です)。

次に、買主の安心を獲得するため、擁壁の安全や法令適合の状況を丁寧に情報開示することが大切です。確認済証や検査済証の有無、ひび割れや排水穴の状態などを、専門家の診断や見積もり資料と共に説明すれば、買主が抱きがちな不安を和らげることができます。また、契約後のトラブル回避にもつながります。

最後に、売却のタイミングです。擁壁の劣化が進むほど修繕費用が増加し、売却のハードルが上がります。早めに調査や補修・準備を進めておくことで、スムーズな売却活動を実現できます。必要に応じて補助金制度を活用して負担を軽減することも検討しましょう。

まとめ

古い擁壁がある家を売却する際には、安全面のリスクや法的な規制、融資の難しさなど、他の物件にはない独自の課題が伴います。まずは現状やリスクを正確に把握し、専門家による点検や自治体からの資料取得を通じて、買主に安心感を与える準備が不可欠です。売却方法にもいくつか選択肢があり、現状のままの販売や補修プランの提示など、ご自身の状況に応じた進め方ができます。適切な価格設定や十分な情報開示を行い、焦らず着実に準備することが売却成功の鍵となります。



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